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承りました。取り急ぎ。

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被害前の自分と被害後の自分の統合

毎年、季節の変わり目に体調を崩しやすい私。
気をつけてはいたのだけれど、花粉症がおさまりノド鼻の調子がよくなったと安心していたら、こんどは胃腸にきた。

でも、同居人に指摘されて気付いたのだけれど、そういえば最近はめまいや頭痛は少ない。
最近市販の漢方薬を飲み始めたのだけれど、そのせいもあるのかもしれない。
PMSや生理痛にもよく効く。例えば生理前や生理中だけ飲むだけでもふしぎととても楽になる。


フラッシュバックの波が来ても、ああまたきたか、と、失望くらいにとらえることができる日もあれば、
その波にのみこまれてしまうときもある。
最近読んだ本や、観た映画などで、いろいろと考えさせられることがあった。


私にとっては、だけれど、今は、性暴力そのものへの怒りは、静かな怒りとしてはあるのだけれど、それに振り回されるほどではなくなった。学習性無力感というのでもなく、自分を大切にし自分の体力を温存しながらも、少しずつできることを探していきたいと思う。そして自分の人生もなんとかしたいと思う。それは同時進行であり、自分の生活もペースも大切にしたいと思う。ときに走りすぎて動けなくなるのも何度も痛感したから。できるときに、できることをしていこうと決めた。

性暴力に関する現状は、もうあまりに悲惨すぎるので、すぐには改善はできないだろうとも思っている。もちろん諦めているわけではない。
ただ、悲惨すぎながらもここ数年で世間の関心が向いてきたのと、この一年で特に動きがいろいろあったのとで、このままいけば、他国よりずいぶん遅れてはいるものの、そのうち事態の深刻さに気付いて、正さざるをえないだろうとは思うようになった。少なくとも、そう思って動いてくれている人たちは、思っていたよりも多いと実感できた。
対岸の火事ではなく、すぐ身近でおこっているということに、気付いてくれる人も増えてきた。


私にとっては、自分の内面には、性暴力そのものへの怒りや悲しみもあるけれど、
それよりももっと根本的なもの、自分の中にもともとあるもの、に向きあわなければいけなくなった時期がきたように思っている。
自分の中の葛藤では、それがおそらく原因だろうと思うことが多くあるように思う。


暴力からの回復の段階の一つとして、「被害前の自分と被害後の自分の統合」という段階がある。
(もちろん回復は一直線ではなく、らせん状のものなのだけれど。)


私は被害に遭ってどんどん人生が思うようにいかなくなってもそれでもなお、そのことを認めたくなかった。
どれだけひどいことをされ、そのためにどれほど人生がうまくいかなくなったか。
奪われたものの大きさから目を背けていた。
奪われたものから程遠い現状に身をおく以外なく、そのことを始終自覚しなくてはいけなかったのに、考え始めると苦しくて苦しくて涙がとまらなくて。動けなくなるほどの悲嘆と怒りを感じるけれど、それでも生活のためになんとか働かなくてはならなかった。誰も何も助けてくれないのだから。


被害に遭う前の自分、というものについて考えるというのは、これこれこういう理由で被害に遭ったということをつきつけられるような思いで、恐怖を感じていたし、
被害に遭った後の自分は滅茶苦茶で、その滅茶苦茶な部分をどうにか排除しようと必死でもがいていたような気がする。そしてそれを表面上はできているかのように見せかけ自分を偽っていたように思う。なんとか働いている、という表面的な事実で覆い隠していた。いつも自分が2人いるような気がしていた。


「被害前の自分と被害後の自分の統合」という言葉に憤りさえ感じていたのは、
性暴力の後遺症に屈服するような気がして、ただでさえ加害者や国や社会に屈服させられたのに、どうしてまた、というような理不尽さを感じ悔しく感じていたような気がする。


でも視点を変えてみると、被害前の自分も、被害後の自分も、ぜんぶ自分なのだ。
どっちも否定するのもなんだか違う。自分を粗末に扱っているような気がしてもきた。
たしかに被害に遭わなくても、自分は自分だ。
けれど、被害に遭ったけれど、被害前の自分がすべてなくなるわけではないし、被害後の自分も今の自分につながっている。そしてこれから先の自分にもつながっている。

だから、私は被害によって分断された破壊された部分が自分の中にあることを感じながらも、それでも、分断や破壊されていない部分も確かにあることを確かに感じる。
ぜんぶ自分なのだ。

たしかに過去は変えたくても変えられない。
ただ、過去の意味づけは変えられる。それは変えようと思ってできるのではなく、自然と、ふとした瞬間に気付かされるものがある。最近ではそういう変化も私はいくつかあった。


過去は変えられないけれど、今と未来をもっと生きやすく輝かせることはできる。
そのために自分を大切にしようと思う。


何度も読んだ「リンダの祈り」で、自分はしているつもりで、実はできていなかったのだなと改めて気付かされた部分がある。


「リンダの祈り」第二章 扉を開く p66~68 から


回復のための11ステップ  

自助グループの話の最後に、SAVA(注)の11ステップを紹介したい。私が自助グループをはじめようとしたとき、AA(Alcoholics Anonymous/アルコホーリクス・アノニマス=匿名のアルコール依存症者たちの自助グループ)のプログラムを参考にして作った。
 AAには回復の道しるべとして「12ステップ」というものがある。12ステップとは、1935年に、2人のアルコール依存症者によって、生み出された回復のプログラムだ。現在、世界各国のAAや薬物依存、摂食障害(拒食症や過食症)など、依存症者のための自助グループが活用されている。

 私はAAの12ステップを参考にSAVAの12ステップを作ろうと思った。ただ一つ、メンバーたちから、12ステップの11番目の“ハイヤーパワー(人知を越えた偉大なる力)”の概念を削除するか否かについて話し合いたいという要望があった。
 長い年月を力によって操られてきた被害者たちは、ハイヤーパワーの言及は避けたい、という意向が強かった。メンバーのみんなは、宗教的に厳しい戒律の家庭で育った。そのため、被害を受けた彼女たちは信仰を一切拒否している。“もし神が罪のない子どもたちを守るのであれば、なぜ私たちを守らず見捨てたのか”という疑問を抱くからだ。ハイヤーパワーは、特定の宗教の神を意味しているわけではないが、メンバーがとり組みやすいよう、SAVAでは、ハイヤーパワーについては言及せず、11ステップとした。

 しかし、長いあいだプログラムに取り組んでいくうちに、被害者の多くは前に通っていた教会にもどったり、ハイヤーパワーを強く信じたりするようになる。回復の証である。
 では、ここで人生をふたたび自分の手で築き上げるための道しるべとして生みだした「性虐待を受けた人が回復し成長するためのSAVAの11ステップ」を紹介する。


1. 私は、性虐待に対して無力で、どうにもならなくなった自分を認めた。
2. 私は、自分を助けられ、人生をよい方向へ導く力を持っていると信じた。
3. 私は、決断することができて、それを実行できると思った。
4. 私は、今までの人生をふりかえり、正直にありのままに自分自身の棚卸しをした。
5. 私は、ありのままの自分の感情を認めた。
6. 私は、性虐待の責任は自分にはないことを受け入れ、これからの自分の行動には責任を持つ決心をした。
7. 私は、自虐的な考えや行動を、前向きな考えや行動に変えていこうと決心した。
8. 私は、加害者に対する感情を認めて受け入れた。
9. 私は、性虐待を言い訳にして、自虐的な考えや行動をとらないことを決意した。
10. 私は、自分の行動に責任を持ち、人生をよい方向へと導く努力をし、誤ったときには、それを正直に認めた。
11. 私は、自分がかけがえのない大切な存在であると認め、自分自身や他者とよい関係を築くことができると信じた。



※引用者注:SAVAとは、Sexual Abuse Victims Anonymous (セクシャル・アビューズ・ビクティムズ・アノニマス=匿名の性虐待の被害者たち)、著者リンダ・ハリディ=サムナーがカナダでつくった自助グループ名) 




ここでいう、

1. 私は、性虐待に対して無力で、どうにもならなくなった自分を認めた。



を、私はしているつもりでいながらできていなかった。
つらい、苦しい、とは思いながらも、ここを完全には認められなかったのだ。
ここまで根本的なものだと認めず、こことここはどうにもならない、と、目に見えるものだけ、不満と恨みを抱きつつ思っていただけだったと気付いた。
もっと根深い破壊的なダメージを自分が受けていることを見つめないでいた。
他のことは少しずつながらやっていても、最初のステップをやっているようで実はふみとばしていた。



もう逃げないと決め、いや、逃げ切れないと諦めたというべきだろうか。
それまで必死でそらしていた痛み、そらしながらもどうにもならなくてもがいていた痛みを積極的に癒そうと決め、直視しはじめてから、だいぶ自分が変わってきたように思う。

自分の芯にある強さが感じられるし、まちがったりする自分、弱い自分も引き受けられるようになってきた。無力感と不信感でいっぱいだったときから、すこしずつではあるけれど、自分の力を信じられるようになった。


それでもなお、ここの、「どうにもならなくなった自分を認めた」というのは、ハードルが高かった。
認めていたつもりでも、つぎつぎと、ここもそこもそうだった、と、自分の中であちこち悲鳴があがる。
そういう自分に苦笑しながらも、もう逃げないと決めた。今まで逃げても、何も変わらなかったから。

ただこうして自分を直視することさえできない時期でもあった。
ただひたすらに生活するためにただがむしゃらに働き、働きながらも働けなくなり、倒れ、入院さえし。
資源のない人ほどどんどん悪い方向にいってしまうのは当たり前だ。


今は安心して暮らせる日常がある。贅沢ではなくともささやかな生活を楽しめる。
穏やかにおびえることなく暮らすことができる。
穏やかに日常を過ごせることは、こんなにも幸せなことだ。


回復のためには、安全の確保、安心して生活できること、が前提とされているけれど、
改めてそれは真実だとしみじみ思う。


気になることがあるので、もう一度、ハーマンの「心的外傷と回復」をじっくり読み直そうと思う。
それは被害前の私の性格形成に関わる部分であるように思う。


心的外傷と回復心的外傷と回復
(1999/11)
ジュディス・L. ハーマン

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リンダの祈り 性虐待というトラウマからあなたを救うためにリンダの祈り 性虐待というトラウマからあなたを救うために
(2003/06/26)
リンダ ハリディ=サムナーLinda Halliday‐Sumner

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こちらは性暴力に理解のある方、管理人と友好関係にある方に限定させていただいています。
同じ記事を別館にもあげてあります→http://d.hatena.ne.jp/manysided/20100519/1274285863

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    プロフィール

    てん

    Author:てん
    メール:

    (※★→@で送信可)
    itisnot_yourfault★yahoo.co.jp


    性被害にあって十数年たちます。
    刑事裁判経験者です。

    二次被害三次被害等、過酷な経験をし、性被害の後遺症もところどころありますが、それでも、わたしは生きています。今は、生きていてよかったと思います。

    だから、同じ被害にあったあなたたちに伝えたい。
    あなたは何も悪くない。どんな事情があったにしろ、あなたは悪くないのです。どんな特殊性があったにしろ、望みを捨てないでほしいのです。

    悪いのは加害者であり、無理解な社会です。あなたは、何も変わってなどいない。とても素敵なところをいっぱいもっている、素敵な人のままなのだから。


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