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裁判員裁判の性犯罪、審理が終わる

全国初の、性犯罪の裁判員裁判が、判決が言い渡されました。

検察側の求刑通り、懲役15年。
これを長いと感じるか短いと感じるかは人それぞれでしょう。
ですが、性犯罪は、あまりに大きなダメージを受け、失うものが多く、経済的にも困難を極めるのに対し、刑は軽すぎます。
そういう意味では、司法関係者のおかしな感覚に一石を投じることができたのではないかと思います。ですがそのぶん、被害者の方に多大な負担がかかっていることを忘れてはならないと思いますし、お辛い気持ちを考えると、私も苦しくなります。

裁判員の方が、記者会見で、こう仰っていました。http://www.asahi.com/national/update/0905/TKY200909040448.htmlより

法廷では、被告の弁護人が過去の強盗強姦事件でどの程度の刑が言い渡されてきたかを調べた結果を示したのを見て「性犯罪に対して軽い判断がされてきたんだな」と感じたという。



例えば私に危害を加えた加害者は、既に同様の事件を何件も起こしていました。いずれも示談、告訴取り下げだったようです。その他にも窃盗、傷害、器物破損、その他沢山の犯罪行為をしていました。
私に危害を加えた事件では、単なる「強姦」という扱いでした。私は怪我をしていましたが、「そのくらいの怪我では致傷はつかない」とはっきり言われました。そのくらい、という割りに怪我の内容を全く把握しようともしていなかったので、歩ければ問題なしという感覚だったのでしょう。当時は今と比べ、「致傷」が非常につきにくかったです。

住居侵入、器物破損、窃盗なども罪に問われませんでした(最近、当時私が受けた警察の説明は間違っていたと知りました。やろうと思えば立件できたのです)。
その他、私が付きまとわれている間に受け続けた暴力行為、傷害も立件しようともしませんでした。
ふだんの行動と出入りしている場所等から何らかのドラッグをしているのではと思っていましたし、そのことも警察に言いましたが「証拠があるのか」と聞かれ、持ち歩いているカバンに何か入れていたと言っても、自宅から手ぶらの状態で連れてきたんだからと恩着せがましく言われました。家宅捜索なんてハナからやる気なかったです。
尿検査等はしないのかと訊いてもうるさがれました。芸能人の事件で、毛髪鑑定などがあると知ったのは最近です。当時あったのかどうかわかりませんが、あったにしても警察は行わなかったでしょう。
悪いことをしている分、正当に評価をし捜査し、その分罪を重くしようという、本来そうあるべきであろう機関としての働きは全く感じませんでした。

何度も何度も「本当にいいのか」と念を押されました。「告訴取り下げはしないのか」と。
つまり告訴取り下げを前提に最小限の動きですませようとしていたということです。

私がたくさん怪我をしているものも、こちらから言わないと写真にとりませんでした。
押さえつけられ必死に抵抗したので、腕などはものすごい数の引っかき傷で真っ赤でした。その他にも沢山の怪我をしていました。

住居侵入にも関わらず指紋もとらない、隠れていた場所の写真も撮らない、カギを盗まれ交換していたのに、他の部屋と比べればいいのに写真も撮らない。熱心なのは再現写真だけ。
何の指示もなく、事件にまつわるもの全てを捨てたかったけれど、たまたまカギ交換のレシートが残っており(当時家計簿をつける習慣はなかったので本当に偶然です)、検察に呼ばれたとき、カギを交換した証拠はあるかと訊かれ、レシートがあることを言うと、大きな証拠になると言われました。
それなのに、警察からは何の指示もなかったのです。私が捨てていたらどうなっていたのでしょう。起訴されなかったとしたら、警察の不手際です。その他にも不手際は多くありました。
こういうことは、他の被害者の話を聞いても、判決文等を読んでも、裁判を傍聴しても、頻繁に起こっています。

不安に思い連絡しても、人によっては「よく連絡してこれるな」という感じの扱いでした。
必死の思いだったのに。


結果、執行猶予がつき、野放しになりました。保護観察、もちろん無視です。
情状酌量という点で、身内の弁護士も監督する、両親も実家から出さない、と言っていたのですが、あっさりその約束は破られました。あちこち転籍していました。法的に拘束する手段はありません。どこにいるのか把握できません。
最悪だったのが、偶然会ってしまったことです。幸い物理的に手出しできない距離でした(線路をはさんだホームとホームのような感じ、と言えば伝わるでしょうか)が、あの恐怖は忘れられません。


私が一番辛く悲しかったのは、今でも苦しいのは、私が一番心配していた、他の女性に危害を加えるのではないかという恐れは現実となりました。反省とまではいかなくてもまた拘束されるのは嫌だと思い同じことをしないでほしいという私の願いは、砕け散りました。

他の女性に何人も同じことをしていたのです。立件されたのは数人の被害者でしたが、何百人と被害者を出していたようです。驚かれるかもしれませんが、じゅうぶんありうることだと思っています。
ちょうど、私が被害者である事件の、執行猶予期間が切れて数ヵ月後のことでした。犯罪自体は、執行猶予期間中も、とぎれることなく行っていたのです。私のしたことは何だったのでしょう。あれだけ苦しんで裁判を耐えたのに、何の意味もありませんでした。

しかし、そういう前科があるにも関わらず、執行猶予はさすがにつかなかったものの、懲役6年数ヶ月でした(細かいところは忘れました)。
ですが、司法関係者は、それを「とても長い刑」と表現していました。
私はこんなにも長い時間が経っても後遺症に悩まされています。「長い刑」、とてもそうは思えませんでした。
反省するならともかく、一生、善悪の区別がつかない人間です。そういう人間も確実に存在するのです。
社会的不利益の観点からも、再犯の可能性をもっと考えるべきだったはずです。
私が苦しむのではなく、判例主義、前例に倣った相場で刑罰を決める、執行猶予をつけた裁判官に責任を感じてほしいです。どれほど多くの女性が苦しむことになったのか。


長くなりました。

やはり自分の事件を思い出すと苦しくなり、なかなか考えがまとまらないです。
少し時間を置いて、リフレッシュしてからまた記事を書きたいと思います。
青森の件について、少し確認をとりたいこともありますし。

うまく自分の中で整理しきれていません。

メール返信、遅れています。申し訳ありません。



同じ内容のエントリを、別館にもあげました。
性暴力に理解のある方以外は、別館の方へお願いいたします。
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裁判員裁判の性犯罪、運用をめぐっての動き

裁判員裁判の性犯罪が初めて行われます。
本日午後、選任手続が行われ、明日から審理が始まります。

私の立場から個別の事件を取り上げるのは、とても気が重いです。
どんなに辛いお気持ちでいられるのだろう、と思いますし、また自分のときのこともやはり思い出します。
捜査過程もですが、裁判そのものが、私にとっては、『暴力』でした。
安心も自信も自由も全くなかったのです。
やはり思い出すと辛いので、乱文になりますがご容赦ください。

先週、裁判員裁判の性犯罪について、プライバシー保護の観点から、裁判員に知人が選任されることを防ぐための、運用上の大きな指針が最高検察庁から出されました。各地検に通達するということでした。

各地で検察に働きかけてくださった方々のおかげです。
少し私も関わりました。多くの方のご協力に、心より感謝申し上げます。


また、検察側の動きを受けてのことでしょう、ようやく、裁判員裁判の性犯罪を初めて審理する地裁でも、「極端な意見の裁判員には注意することもある」などと方針を打ち出しました

性犯罪はやはり裁判員制度の対象外とするべきだと強く思いますし、不安は残りますが、当初「無視」を決め込んでいたことを考えると、現段階では、可能な限りのことをしてもらった、とプラスに評価したいと思います。


裁判員裁判では、検察が良いイメージを作り出す、ショーのような印象で不信感を持たれた方も多いと思います。東京、埼玉の裁判は、確かに「ショー」のようだと私も思いました。
何人も検察官が付き、とても積極的に、より重い刑を求刑するよう働きかけていると感じました。国家権力を武器にして、とてもお金もかけているとも思いました。
なので検察への不信を感じるのは無理もないことだと思いますが、
あちこちで感じることですが、おそらく、世間のイメージと、もともとの検察の実態は、かけ離れています。

昨年12月の被害者参加制度の導入以降、検察は本来あるべき姿になってきたように思います。

報道される重大事件では優秀な検察官が付きますが、通常、捜査担当と、公判担当では検察官が違うことが多く、日本の司法制度は判例主義ですから、言葉は悪いですがほぼ出来レースのような感じで、公判担当の検察官は、プレゼン能力も何もなく、積極的に動かないということが多かったのです。
特に性犯罪は、被害者が出廷しないことを前提に、勝手にすすめられていたと思います。そのような検察官のやる気のなさ、配慮のなさで、よけいに被害者が追いつめられていっていたのです。

被害者参加制度は賛否両論ありますが、私は賛成です。もちろんまだ不備な点も多いですが、選択できますし、何より検察側の意識改革、行動改善に直接結びついています。
処罰感情や、厳罰化云々以前の話です。
性犯罪の場合は、ダメージの大きさが反映されていない、とても軽い刑罰ですから、仮に今までより刑が重くなったにしても(そこまで反映されるのに時間はかかるでしょうが)厳罰化というよりも適正化だと思います。女性は牛や馬と同じ「動産」でもないですし、「夫や父のものが盗まれた」という明治時代のままの、女性の性的自己決定権を無視したひどい法律と判例です
何より、司法関係者の内輪のみで、ずれた感覚でいたときとは、逆のベクトルが働くでしょう。


被害者参加制度が導入されるまでは、被害者は蚊帳の外に置かれていました。
刑事裁判は、被害者に代わって国が加害者を訴える、その代弁者が検察で、被害者は証人の一人にすぎません。
裁判中には何も話せないですし、弁護士を頼んだとしても、弁護士も傍聴席で傍聴し、裁判前後に検察官と連絡をとる、というのがせいぜいでした。(私の場合は、検察官はその連絡すら無視していましたが)
被害を受けた当事者なのに、裁判がどのように進められるかの説明もなく、検察の都合で勝手に進められていました。

特に性犯罪の場合は扱いがひどく、証人というより傍聴人に近い扱いでした。いえ、傍聴人よりひどかったと思います。
被告人、つまり加害者が否認している場合、出廷が求められるのが通常なのですが、どうせ法廷には来ないという前提で最初からやる気がなく、「紙の上の幻の存在」でした。
捜査担当と公判担当は分かれているのが通常で顔をあわせることもなかったです。
極端に言えば、検察は「うやむやにしよう」という意識だったということです。

私が最近直接お話した検察も「加害者訴追のあまり被害者置き去りだった」と認めていました。
これは全ての犯罪においての被害者、という意味で、
性犯罪の場合は、加害者訴追も甘かったのです。どうせ示談、執行猶予、たいした刑にならないから適当にやろう、という風潮でした。
そういったいい加減な対応が、良いほうに変わっていくのなら望ましいことです。

被害者参加制度は、実は、検察への監視でもあります。今までのように好き勝手にできないのですから。
被害者本人が出廷できなくても、弁護士を頼めば、検察官の隣に座って、例えば意見陳述の代読をしてもらうこともできます。
何より検察官が、適当に仕事をする、ということが許されないのが、一番いいです。
(もちろん本来そうあるべきなのですが、日本の検察は起訴・不起訴の判断時点である意味裁判所のような役割を果たす特殊性を持っています。有罪率が高いのはそのためです)

それが裁判員裁判だと、世間に与える印象作りを優先しているように思え、ショーのようだと違和感を感じるのは事実ですが。


しかし、法改正が間に合わない今は、検察官に、被害者の方へのなるべくの配慮をしてもらうしか手はありません。裁判員裁判では、優秀な検察官がつくでしょうし、入念な準備をして裁判にのぞむと思います。
国民の監視の目が入り、調書も読まずに裁判に臨む、明らかな矛盾点も追及しない、等は許されないのですから。

ただ、外部からはわからない点で私が危惧しているのは、検察が自分たちのアピールのために、都合のいいように「被害者を使う」のではないか、ということです。
大切なのは、被害者自身が納得しているか、同意を得ているのか、無理強いしていないか、です。
選択肢を示し、メリットとデメリットまで説明した上で、被害者の意思を反映させることが必要だと思っています。


以下、長くなりますが、いくつかの記事を転載します。

裁判員:性犯罪、身近な人は不選任 被害者に配慮 最高検(毎日新聞 2009年8月26日)

 性犯罪を審理する裁判員裁判で、最高検は、被害者と生活圏や人間関係が共通する裁判員候補者を裁判員に選ばないよう積極的に地裁に求める方針を、全国の高検、地検に示した。被害者のプライバシー保護が狙いで、該当者については裁判員選任手続きの際、理由を示さずに不選任請求する。被害者には事前に候補者名簿に知人がいるかも確認してもらい、同様に対応する。不選任請求に関する検察の具体的な方針が明らかになるのは初めて。

 性犯罪の裁判員裁判は9月2~4日に青森地裁、10月20~22日に福岡地裁で開かれる。

 性犯罪を巡っては被害者側から、身近な人間が裁判員になって被害実態を知られることや、候補者に被害者情報が伝わることは心理的負担が大き過ぎるなどと懸念の声が出ていた。裁判員法では、被告や被害者の親族、代理人らのほかは、不公平な裁判をする恐れがあると認められた者しか裁判員から外すことができない。検察側は選任手続きでの権利を活用することで対応することにした。

 検察幹部によると、被害者に日常生活の範囲や人間関係を尋ね、地域や団体など「一定の範囲」を設定する。選任手続きでは、「住んでいる自治体は」「職種は」「大学生の知り合いがいるか」「何のサークルに入っているか」などと候補者に対して裁判長に質問してもらい、回答が「一定の範囲」に当たれば理由を示さず不選任を求める。該当者が法定の人数を超えた場合は追加質問で絞り込む。

 また、被害者に候補者名簿を示して知り合いと同じ名前があれば、年齢や容姿を聞く。選任手続きで同一人物と確認できたり、別人と断定できない場合は同様に不選任を求める。「不公平な裁判をする恐れがある」と判断できれば、それを理由に不選任請求する。

 理由なく不選任請求すべき人が法定の人数を超える場合は判明している事情から優先順位をつけて請求する。

 【ことば】▽裁判員選任と不選任請求▽ 
 裁判員候補者は、一般的に初公判当日の午前に行われる裁判員選任手続きに臨む。地裁は候補者に質問した上で、検察側などの請求も踏まえ、不公平な裁判をする恐れがあると判断した場合は不選任決定する。このほか、検察側と被告・弁護側は理由を示さないで原則各4人まで不選任を請求でき、地裁は必ず認める。辞退希望が認められた人を含め不選任となった人を除く候補者から抽選で6人の裁判員が選ばれる。



解説:性犯罪事件の裁判員除外、最高検指針 被害者、不安なお 具体的範囲など課題(毎日新聞 2009年8月26日)

 性犯罪を審理する裁判員の選任手続きで検察側が打ち出した方針には、法の趣旨に沿って裁判の公正さを保つことを前提に、被害者の不安を取り除く狙いがある。

 不公平な裁判をする恐れがある者を除くため、選任手続きでは一定の情報を候補者に開示するのは避けられない。最高裁は被害者情報について大まかな住所や年齢などの説明にとどめ、心当たりがある候補者には個別に名前を挙げてもらう対策を示した。

 しかし、被害者側の不安は払しょくされていない。関係団体は「被害者とかかわりがある地域の住民を裁判員から外して」と求めるが、これだけでは「不公平な裁判をする恐れ」とは言えず、住民から無作為に裁判員を選ぶ制度の仕組みにも合わない。

 検察側の方針は、被害者側の要請に応える内容だ。ただし、理由を示さないで不選任請求できる原則4人まで候補者を絞り込む必要がある。被告が複数の事件で起訴された場合は、被害者も複数いて絞り込みが難しくなる。候補者への質問は裁判長しかできず、検察側が求める質問が採用されるかどうかも不透明な側面がある。除外を求める具体的な範囲の設定も今後の課題だ。

 性犯罪を巡っては、6人の一般市民に被害を知られる負担や公開法廷でいわれなき「落ち度」を追及される不安など選任以外の問題も指摘されている。「精神的な二次被害を恐れて被害申告を控える人が増えた」と指摘する関係者もいる。検察を含む法曹三者は、さらに努力を続ける責任がある。



性犯罪で「理由なし不選任」請求=裁判員裁判、被害者に配慮-最高検(時事ドットコム)

 性犯罪を審理する裁判員裁判について、最高検は26日までに、被害者と生活圏などが重なる候補者を裁判員に選ばないよう、選任手続きで理由を示さない「不選任請求」を活用する方針を決め、全国の地検に示した。被害情報が裁判員らに伝わることで二次被害を恐れる被害者側の声に配慮した。検察による不選任請求の活用方針が明らかになるのは初めて。
 
 性犯罪については、最高裁は被害者情報の開示を一部制限する方針を示しているが、被害者グループなどは裁判員裁判からの除外を求めている。
 
 裁判員の選任手続きでは、事件関係者ら不公平な裁判をする恐れを理由とした不選任のほか、検察、弁護側がそれぞれ原則4人まで理由を示さず不選任を請求できる。
 
 検察幹部によると、選任手続きの2日前までに裁判所から送付される候補者名簿を被害者に示し、知人と同じ名前があるかどうかを確認。同一人物と確認できなくてもその可能性があれば、理由を示さずに不選任を請求する。
 
 選任手続きでは、居住地域や職種、学校名などを裁判長から候補者へ質問してもらい、被害者の日常生活の範囲と重なる点が多いと判断すれば、理由なし不選任を請求する。(2009/08/26-11:33) 



性犯罪事件 身近な候補は不選任 被害者に配慮   東京新聞 2009年8月26日 夕刊

 性犯罪を対象とした裁判員裁判で、最高検は、被害者と居住地が近い候補者や人間関係が共通する候補者を裁判員に選ばないよう、選任手続きで理由を示さず不選任請求する方針を決め、全国の高検、地検に示した。被害者には事前に候補者名簿を示し、知人がいないかどうかも確認してもらう方針で、被害者のプライバシー保護を目的に不選任請求を活用する。

 性犯罪をめぐっては、被害者の知り合いが裁判員となった場合に、身近な人に被害実態を知られることで二次被害が生じることを懸念する声が出ていた。性犯罪を審理する裁判員裁判は九月二~四日に青森地裁で初めて開かれる。

 検察幹部によると、選任手続きの二日前までに裁判所から受け取る候補者名簿を被害者に示し、知り合いと同じ名前があれば、選任手続きで同一人物かどうかを確認。別人と確認できない場合は不選任を請求する。また、被害者に日常の活動範囲や人間関係などを尋ねた上で、選任手続きの際に居住地や職種などを裁判長から候補者へ質問してもらう。回答で被害者と接点がある可能性が浮上した場合にも不選任を求める。

 選任手続きでは、検察側、弁護側双方が、特定の候補者を裁判員としないことを、理由の説明なしに申し立てることができる。申し立て可能人数はいずれも原則四人までだが、補充裁判員数に応じて上乗せされる。



裁判員裁判:性犯罪事件に要望 被害者プライバシー保護、地裁が配慮内容説明 /青森  (毎日新聞 2009年8月28日 地方版)

 来月開かれる性犯罪事件の裁判員裁判に向け、女性を支援するNPO法人「ウィメンズネット青森」(青森市)が被害者への配慮を求めていたのを受け、青森地裁は27日までに、裁判員の選任手続き時などの配慮内容を口頭でNPO法人に説明した。

 NPO法人によると、「被害者のプライバシーを守るように」との要望に対し、地裁は選任手続き時の配慮として▽被害者の個人情報は性別、住居地域、年代にとどめる▽メモをとらず、口外はしないよう要請する--などと回答。「2次被害の配慮をしてほしい」との要望には▽証人や被害者の意見陳述の際はパネルやビデオリンク、家族の付き添いなどを検討する▽法廷などでは名前を伏せる--などの考えを示したという。

 一方、「先入観を払しょくするための配慮として、研修などの機会を設けてほしい」とする要望には、「裁判員に対し事前に教育や指導はできない」とし、討議の場で偏見や先入観を排除する努力をすると説明するにとどまったという。

 NPO法人は「公正な判断をするため、予備知識を身につける研修をしてほしかった。法廷でプライバシーがどう守られるか見たい」とコメントした。【山本佳孝】



「女性被害者に最大限の配慮」 性犯罪の裁判員裁判で青森地裁」  (東京新聞/共同通信  2009年8月27日 13時31分)

 青森地裁は27日までに、強盗強姦事件を審理する裁判員裁判が9月2日から始まるのを前に、被害者保護の徹底を求めていた女性団体に対し「裁判員選任手続きでは最大限の配慮をする」などと回答した。
 
 地裁から26日説明を受けた青森市の特定非営利活動法人(NPO法人)「ウィメンズネット青森」によると、地裁は「裁判員に、討議のやりとりの中で(性犯罪被害者への)偏見や先入観を排する努力をする。極端な意見の裁判員には注意することもある」との見解も示した。

 地裁は裁判員選任手続きでまず、候補者に被害者の氏名や住所は伝えずに、被害者が住む地域や年代を伝えると回答。裁判長が裁判員に質問、返答次第では不選任を検討するとしている。候補者にはメモは取らず、内容を口外しないよう依頼する。
 
 今回の裁判員裁判では、被害者が別室からモニターを通じて意見を述べる「ビデオリンク方式」が採用されるが、地裁はさらに配慮として、法廷で名前を伏せることや、家族の付き添いを認めることなどを挙げた。
 
 同団体は「地裁としてできる最大限の回答はしてもらったと考えている。今後はどのように実施されるのかを見届けたい」としている。  (共同)



公判前日に裁判員選任 性犯罪被害者へ配慮 青森地裁 河北新報社

 9月2日から青森地裁で開かれる東北初、全国で3例目の裁判員裁判で、地裁は裁判員の選任手続きを前日の1日に実施する。東京、さいたま両地裁での2件の裁判員裁判では、初公判当日に行われており、選任手続き期日と公判期日の分離は今回が初めてとなる。青森地裁は、対象事件が性犯罪で被害者のプライバシー保護が求められることや、青森県の交通事情を考慮したとみられる。

 東京、さいたま両地裁は、公判初日の午前に選任手続きを実施し、昼休みを挟んで午後に公判を始めた。青森地裁は1日午後、選任手続きだけを行い、初公判は2日午前に開廷する。

 青森地裁は2005年6月~09年5月、計13回の模擬裁判員裁判を開いた。選任手続き期日と公判期日を分離する方法を取ったことはなく、本番が初めての試みとなる。

 地裁は分離の理由を明らかにしていないが、関係者によると、裁判員裁判では全国で初めて性犯罪事件を扱うことが影響しているようだ。

 地裁は選任手続きで、被害者のプライバシーに配慮するため、裁判員候補者に事件概要を説明する際、被害者の氏名を明かさず、大まかな住所や年代を示すにとどめる。個別の候補者への質問でも、被害者や被告と関係がないかどうかなどを、裁判長らが慎重に確認する方針を掲げている。

 法曹関係者は「被害者の名前などを伝える、ほかの事件と比べ、作業時間が長くなることが予想される。分離方式ならば、その後の裁判日程などを気にせずに作業に集中できる」と指摘する。

 分離の要因として、もう一つ挙げられるのが青森の地理的な特徴、交通事情だ。

 下北半島の北端・大間町から地裁のある青森市までは片道約150キロ。公共交通機関を乗り継ぐと、最速でも約4時間かかる。仮に午前10時に選任手続きを始めるとすると、前泊が必要な場合も出てくるため、遠隔地の候補者に配慮したとみられる。

 半面、審理スケジュールにもよるが、分離することで、前泊を必要としない裁判員や補充裁判員の拘束が1日長くなることもある。

 裁判員候補者名簿に記載された下北地方の男性(40)は「性犯罪事件なので、慎重に選任するのはもっともだ」と理解を示しながら「日程が1日長くなるとしたら、仕事や日常生活に影響が出ないか心配だ」とも話している。

2009年08月30日日曜日




3件目の裁判員裁判、初めて性犯罪を対象に

 全国3件目の裁判員裁判が1日、青森地裁で始まる。

 裁判員の選任手続きには、呼び出し状を送付した73人のうち、40人前後の裁判員候補者が出席する予定となっている。性犯罪を対象とした初めての裁判員裁判となることから、地裁は被害者のプライバシーに配慮して慎重な選任を進める。

 裁判では、女性2人に対する強盗強姦(ごうかん)事件などが審理される。地裁は選任手続きで候補者に被害者との関係を尋ね、知人などが選ばれないようにする。その際も被害者の氏名を告げず、居住自治体や年代などで判断してもらう。手続きにかかる時間が予測できないため、1日は手続きのみとした。

 青森地裁は7月、候補者名簿から100人を抽出し、病気などで辞退を申し出た27人を除く73人に呼び出し状と質問票を送付。関係者によると、地裁は質問票への回答を基に30人ほどの辞退を認めるなどしたという。

 これまでの裁判員裁判2件では、呼び出し状送付対象が東京地裁で73人、さいたま地裁で69人。このうち辞退を認めたり、呼び出し状が届かなかったりしたのはそれぞれ24人と25人で、呼び出し状を送付した人に占める割合は33%と36%。青森地裁では、4割強となる。

(2009年9月1日03時17分 読売新聞)







同じ内容のエントリを、別館にもあげました。
性暴力に理解のある方以外は、別館の方へお願いいたします。

司法と国会、そして社会に正しい理解を求めます

「性暴力禁止法をつくろうネットワーク」で、性犯罪を裁判員制度の対象にするなど、問題ありすぎる司法制度についてのシンポジウム
「性暴力被害者が訴えやすい裁判に ~ 裁判員制度と性暴力被害者の人権」が昨日8月17日、行われました。
残念ながら私は行けなかったのですが、テレビはばっちり見ました!
NHK日本テレビNEWS24、ネットでも見れます。皆様、ぜひご覧ください。

ニュース映像からの書きおこし ※全文ではありません

<NHK>
シンポジウムでは、被害者を保護する一層の対策を求めるとともに、現状では裁判員制度の対象から性犯罪を外すべきだと訴えました。
裁判員制度の対象事件のうち、およそ20%は性犯罪になるとみられ、裁判員を選ぶ際、守秘義務のない候補者に被害者の情報がもれるおそれがある等と指摘されています。

日本弁護士連合会、犯罪被害者支援委員会委員長の、番敦子弁護士
「検察は候補者名簿を被害者に事前に見てもらい、知り合いがいないか確認としているが、名前だけで除外するのは難しい。性犯罪の現状を知らない裁判員の何気ない質問で被害者が傷つくおそれもあり、性犯罪は裁判員制度にそぐわない」と指摘。

中京大学法科大学 柳本 祐加子 准教授
裁判官は性犯罪について知識を得る機会があるが、裁判員にはない。性犯罪について事前に研修を受けるような現状がないでは、対象から外すべきだ」と強調。

大妻女子大学 鄭暎恵 教授  
「今回裁判員制度の中で、もし二次被害が広がってしまうようなことがあると、ますます訴えにくくなる。被害者がいったいどんな気持ちでいるのか十分理解してほしい」と指摘。


<日本テレビ>
性犯罪被害者の人権を守る市民団体が、都内でシンポジウムを開き、裁判員裁判では、性犯罪の被害者が、法廷で二次被害を受ける恐れがある以上、裁判員裁判の対象とすべきではないなどの意見が相次ぎました。

性犯罪の実態を知らない裁判員が質問することで被害者に心理的被害が拡大する恐れがあるなどの問題点が話し合われました。

シンポジウムでは、具体的な運用状況によっては司法当局に改善を申し入れるとともに、性犯罪被害者の実態を正しく理解してもらうための運動を広げていくことで意見が一致しました。




こちらのシンポジウムで公表された
「性暴力禁止法をつくろうネットワーク」が性暴力被害防止、根絶について主要政党に質問したアンケート回答結果
が、ウィメンズ・アクション・ネットワーク(WAN)に、アップされました。
【特設:衆院選】性暴力被害防止、根絶についての政党アンケート

ウィメンズ・アクション・ネットワーク(WAN)のサイトでは、その他にも、女性の雇用・福祉問題など、たくさんの政党アンケート結果がアップされています。
【特設:衆院選】衆院選は「女性」が争点!――緊急政党アンケート


選挙に向けての、いち判断材料として、ご活用ください。


シンポジウムを主催された方々、参加された方々、お疲れ様でした。








<参考URL>
http://www.nhk.or.jp/news/t10014954981000.html から転載

 性犯罪を審理する裁判員を選ぶ際、被害者の情報が裁判員の候補者に漏れるおそれがあるなどとして支援団体が17日、東京でシンポジウムを開いて被害者を保護するいっそうの対策を求めるとともに現状では、裁判員制度の対象から性犯罪を外すべきだと訴えました。

 このシンポジウムは、性犯罪が対象になる裁判員による裁判が、来月、初めて開かれるのを前に性犯罪の被害者を支援する市民団体が開いたものです。裁判員制度の対象事件のうち、およそ20パーセントは、性犯罪になるとみられ、裁判員を選ぶ際、守秘義務のない候補者に被害者の情報が漏れるおそれがあるなどと指摘されています。
 
 シンポジウムでは、日本弁護士連合会で被害者の支援を担当している番敦子弁護士が「検察は、候補者の名簿を被害者に事前に見てもらい、知り合いがいないか確認するとしているが、名前だけで除外するのは難しい。性犯罪の現状を知らない裁判員の何気ない質問で被害者が傷つくおそれもあり、性犯罪は裁判員制度にそぐわない」と指摘しました。
 
 また、中京大学法科大学院の柳本祐加子准教授は「裁判官は性犯罪について知識を得る機会があるが、裁判員にはない。性犯罪について事前に研修を受けるような制度がない現状では対象から外すべきだ」と強調しました。

 シンポジウムを主催した支援団体の鄭*ヨン惠さんは「被害者が2次的な被害を心配して訴えなくなるおそれもあり、裁判所には、十分な対策を取ってほしい」と話しています。(*ヨン=「日」へんに「英」)



http://news24.jp/articles/2009/08/18/07141929.htmlから転載

 
 性犯罪被害者の人権を守る市民団体が17日午後、東京・渋谷区の「東京ウィメンズプラザ」でシンポジウムを開き、「裁判員裁判では、性犯罪の被害者が法廷で2次被害を受ける恐れがある以上、裁判員裁判の対象とすべきではない」などの意見が相次いだ。

 シンポジウムを主催したのは「性暴力禁止法をつくろうネットワーク」で、弁護士やカウンセラーなどが参加した。この中で、性犯罪の実態を知らない裁判員が被害者に質問することで、心理的な被害が拡大する恐れがあるなどの問題点が話し合われた。

 シンポジウムでは、具体的な運用状況によっては司法当局に改善を申し入れるとともに、性犯罪被害者の実態を正しく理解してもらうために運動を広げていくことで意見が一致した。

 性犯罪事件の裁判員裁判は来月以降、青森や福岡で予定されている。

鹿児島県議会で、「裁判員制度における性犯罪事件の被害者の立場に立った対応策を求める意見書」が可決

鹿児島地裁に5/19申し入れを行ってくださっていた柳誠子県議会議員のご尽力によって、鹿児島県議会で、意見書が可決されました。

行き詰っていた現状で悲しい気持ちでしたので、とても嬉しいです。柳議員さま、鹿児島県議会の皆様、本当にありがとうございました。

鹿児島地裁に申し入れをされた柳県議と小川市議のあたたかい熱意には、いつも励まされています。小川みさ子市議にも、本当にお世話になっています。


平成21年第2回定例会において可決された意見書・決議(平成21年7月6日)から引用



                      意見書


  裁判員制度における性犯罪事件の被害者の立場に立った対応策を求める意見書




 裁判員制度に対しては各面からの問題点が指摘される中,裁判員制度における性暴力犯罪の取り扱いで女性被害者の不利益,プライバシーの重大な侵害が懸念されている。

 裁判員が参加する刑事裁判が対象とする性犯罪には,最高刑が死刑の強盗女性暴行致死罪,無期懲役の女性暴行致死傷罪,強制わいせつ致死傷罪,集団女性暴行等致死傷罪,強盗女性暴行罪などが含まれるが,これらは対象事件の2割以上を占めると予想されている。

 裁判員制度において,性暴力犯罪事件においても他の事件と同様に,それぞれの事件で100人にも及ぶ裁判員候補者に対し事件の概要と被害者の氏名を伝えることになれば,裁判員候補者には事件の情報に関する守秘義務はなく,被害者情報の流出が懸念される。

 女性支援団体などが,最高裁判所や各地方裁判所へ「被害女性のプライバシーが保護されない危険性がある」として,制度開始の延長や性犯罪を対象事件から外すべきとの申し入れを行い,最高裁判所は,性犯罪の裁判員選任手続きで候補者に被害者氏名は明かさずイニシャルや年代などにとどめ,裁判長が個別質問で被害者の関係者か確認する見通しであるとの見解を示した。また,検察官を通じて被害者に裁判員候補者名簿を開示して関係者を特定してもらうとの対応策が検討されている。しかし,検察官において一律にこのような対応をするとか,最高裁判所がこのような方法を検察官に要請するといったものではなく,一つの手段としてこのようなこともあり得るというものである。

 これでは地方裁判所による個別の解決策となり,被害者のプライバシーが公平に保障されない可能性が生じ,現在,刑事裁判において,被害者のプライバシーが保障されていることとも大きく矛盾する。性暴力犯罪は他の犯罪と異なり,適切な配慮がなされなければ裁判プロセスそのものが二次被害を及ぼす場となってしまう。そして何より,二次被害を恐れ被害にあっても被害届を出さないといった傾向を助長することにもなりかねない。

 よって,性暴力被害者の人権,プライバシー保護を求める上でも,性犯罪事件の審理にあたっては慎重に取り扱うなど,被害者の立場に立った適切な配慮と対応策を講じるよう強く要望する。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。




平成21年7月6日


    
                               鹿児島県議会議長 金子万寿夫
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣殿
法務大臣
最高裁判所長官
最高検察庁検事総長




柳議員とは直接やりとりさせていただいたのですが、性犯罪に遭うということ! や、意見書提出嬉しい報告!等、サイトでもとりあげていただいています。理解ある方が議員さんとして、こうして熱心に動いてくださるのは、とてもありがたく救われる思いです。

多くの方が、わたしたち被害者の声に耳を傾けてくださり、真剣に動いてくださっていることに、感謝してやみません。性犯罪被害者は、いままで顧みられなかった存在のように扱われていたので、まるで自分のことのように動いていただけるのは、本当に嬉しいのです。
多くのサバイバーの方、支援者の方々が声をあげてくださっていたからこそ、いま私がこうして動けているとも実感しています。皆さまに、感謝してやみません。

微力ながら私もできることをしていこうと、改めてパワーをもらえました。
ご協力いただいている多くの皆様へ。深く深く感謝しております。ありがとうございます。


ぜひこちらのサイトもご覧ください。
※参考サイト  
裁判員制度における性暴力事件を考える 

国会での動き ― 参議院

前のエントリ「国会での動き―衆議院」で6/24衆議院での質問を書いたのだけれど、同じ日に参議院でも動きがあったようなので、またもや遅ればせながらエントリをあげます。

山本かなえ 公式ブログ(公明党・参議院議員)より引用

2009-06-24 参議院行政監視委員会にて質問(速記録)その2 [国会質問] [編集]
171-参-行政監視委員会-4号 2009年06月24日(未定稿)

答弁者  森 英介 法務大臣 及び 法務省政府参考人

○山本香苗君  

裁判員制度におけます性犯罪被害とプライバシーの保護についてお伺いをさせていただきたいと思っております。森法務大臣には初めて質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

それでは、質問に入らせていただきますが、まず、裁判員制度の対象となります性犯罪事案というのはどれぐらいあると想定されていらっしゃるんでしょうか。

○政府参考人(大野恒太郎君) 

平成二十年中に地方裁判所で受理されました裁判員裁判の対象となるいわゆる性犯罪事件は合計四百六十八件であります。その内訳を多いものから三つ申し上げますと、強姦致死傷が百八十九件、強制わいせつ致死傷が百三十六件、強盗強姦が百二十五件となっております。

平成二十年中の裁判員裁判の対象事件全体の起訴件数は二千三百二十四件ということになりますので、このうちの約二割がいわゆる性犯罪事件に当たるわけでございます。

○山本香苗君 

その性犯罪事案についての裁判員選定手続がスタートするのは早くていつぐらいからとお考えでしょうか。

○政府参考人(大野恒太郎君) 

裁判員制度は今年の五月二十一日にスタートしたわけでございます。その後、六月二十一日までの間、起訴されました裁判員裁判の対象となる性犯罪事件は、私どもが把握している限りでは二十五件あるということでございます。

ただ、まだ具体的な裁判の日程はセットされておりません。裁判員裁判につきましては、第一回公判前に公判前整理手続という手続を行うことになっておりまして、この手続に一定程度の日数を要します。そして、そうした手続を終えた後、裁判員等選任手続の期日の六週間前までに裁判所が裁判員候補者を呼び出すための呼出し状を発送する必要があります。

そうしたことから、今後、やはり相当の期間、こうした期間を経た上でいわゆる性犯罪事件についての裁判員裁判が実際上スタートすることになるわけでありますけれども、今申し上げたような状況でございまして、現時点においてそれがいつになるのかということは確定的なことは申し上げられない状況にあります。

○山本香苗君 

一昨日の新聞に公判前整理手続の日程が掲載されたものが出ておりましたけれども、ちょっとレクチャーのときに聞いた段階では、原則、公判前整理手続、スタートして大体早くいけばプラス六週間ぐらいで選定手続の方に行くということを伺っておりました。そうすると、早くて八月半ばぐらいなのかなというところではないかと。今のお話もそういうことでよろしいんでしょうか。

○政府参考人(大野恒太郎君) 

おっしゃるとおりでございます。公判前整理手続が終了してから六週間、間を置いて第一回公判といいましょうか、裁判員の選任手続の期日が入ると、こういうことでございます。

○山本香苗君 

その裁判員選定手続がスタートするに当たりまして、裁判員候補者に対して被害者の名前が、氏名が公表されることによって性犯罪被害者の方々から懸念の声が上がっているわけであります。この問題は法務大臣もよく御認識をされて、御関心を持っていらっしゃると伺っております。そこで、改めて森大臣にお伺いをしたいわけですが、この問題に対します御見解、また御見識をお伺いさせていただきたいと思います。

○国務大臣(森英介君) 

御指摘のとおり、性犯罪の被害者の方々に関しましては、刑事手続において、その精神的負担や名誉、プライバシーに特に配慮する必要があると認識しております。

法務省としても、これまで、被害者に関する情報の保護措置として、まず性犯罪の被害者の氏名等を裁判所の決定により公開の法廷で明らかにしないこととすることができること、また同じく、被害者の氏名等について検察官が証拠開示の際に弁護人に対しみだりに他人に知られないようにすることを求めることができることなど、様々な立法措置を講じてまいりました。

また、検察当局においても、被害者の方の心情に配慮した施策を講じてきたものと承知をいたしております。
裁判員制度の下におきましても、犯罪被害者の方々のプライバシーの保護を適切に図っていくことは制度の円滑な実施のためにも極めて重要であり、被害者の方々からの御要望については真摯に受け止めて適切に対処していく必要があるものと考えております。

裁判所や検察当局においても、被害者の方々の懸念の声も十分に踏まえて、被害者の方によりその心理的な御負担の少ない運用に努めていくものと承知をいたしているところでございます。

○山本香苗君 

私は、この問題は、今大臣の御答弁の中にありましたけれども、おっしゃるとおり、円滑な裁判員制度の実施に向けて極めて重要なものだということでありますけれども、ただ単に重要だとか配慮すべきだとか、そういう問題ではなくて、必要不可欠なことではないかと思っております。

そこで、具体的に伺ってまいりたいと思いますが、性犯罪被害者の安全とプライバシーの確保を裁判員選定手続においてどのように図っていくのか、具体的な御答弁をお願いいたします

○政府参考人(深山卓也君) 

ただいま裁判所における裁判員の選任手続の運用にかかわるお尋ねをいただきましたけれども、この手続は、御案内のとおり、裁判員法に定められた不適格事由の該当性を判断する必要があることから、その前提として裁判員候補者に対して被害者に関する一定の情報を提供することがあり得るものでございます。

そこで、裁判所においては、性犯罪事件のように被害者のプライバシー保護を図る必要性がひときわ高い事件の選任手続では、例えば裁判員候補者全員を対象としたオリエンテーション、これを行うわけですけれども、
オリエンテーションにおける事件概要の説明においては必要最小限の範囲の情報提供にとどめ、具体的な必要に応じて個別質問の場で裁判員候補者の側から思い当たる名前や住所その他の特定事項を言ってもらうというふうにして、
被害者と裁判員候補者との間に裁判員法で不適格事由と定められる親族関係あるいは被用者関係といったようなものがあるかを確認する方法をそういう形でとる
というようなことや、裁判員候補者名簿を事前に検察官は開示を受けますので、
事前開示を受けた検察官において、被害者と候補者との間の関係の有無を判断するために裁判員候補者の氏名を被害者御自身にお伝えして親族あるいは知人であるかといった点を確認する
といった運用を考えていると聞いております。

このような運用上の工夫によって、
裁判員候補者に提供する被害者に関する情報の程度を必要最小限度にしながら、
被害者と裁判員候補者との間の関係の有無を判断をする
ということが考えられているわけでございます。

○山本香苗君 

ただいまの御答弁の中で、裁判員法第三十一条の規定に基づいて検察官が選定手続の期日二日前までに裁判員候補者名簿等の情報開示を受ける形になっておりますけれども、その場合に、その名簿を被害者に見せて、そして関係者を特定してもらって外すというようなこともあり得るんだという御答弁がありました。

そこでお伺いしたいんですが、確認したいんですが、
今答弁にあったとおり検察官はしっかり対応するということでよろしいんでしょうか

○政府参考人

(大野恒太郎君) 検察当局におきましても、性犯罪事案において被害者の方々が氏名等の個人の特定につながる事項を裁判員候補者に開示してもらいたくないというような御希望を持たれている場合には、当該事件の被害者の方に対しましてその意向を十分に確認をさせていただいて
その上で裁判員候補者の名前を教示、お知らせして被害者の関係者が含まれていないかどうかを確認し、事案に応じまして裁判員候補者に対する不選任の請求権等を行使するなどいたしまして適切に対処するというように承知しております。

○山本香苗君 

きちんと確認するということでございますね
他方、被害者が認識していなくとも、裁判員候補者の方が逆に被害者のことを知っているというケースも考えられ得るわけであります。そのために、裁判所の方々が、できるだけ裁判員候補者に被害者特定事項を知らせずに、被害者と裁判員候補者との間に関係があるかどうかを質問の中で個別にやっていくんだということは何度も何度もこの間のレクチャーの中で伺ったんですけれども、であるならば、いっそのこと、性犯罪事案に関しては、裁判員に選ばれて守秘義務が掛かってから被害者との関係者であったならば解任するという手続を取ったらいいんじゃないかと思うわけでございますけれども、そのような運用はできないものでしょうか。できないと言うなら、そのできない理由をはっきりさせていただきたいと思います。

○政府参考人(深山卓也君) 

まず、裁判員法でこの裁判員の選任手続がどうなっているかということを最初に少し説明させていただきたいと思うんですが、この手続においては、まず第一に、裁判長が裁判員法に定められた辞退事由や不適格事由の該当性を判断するために裁判員候補者に対して必要な質問をすることができるとされていまして、当事者、つまり検察官、弁護人ですか、も裁判長に対してこういう質問をしてほしいということを言うことができると、そういう質問の段階があります

第二に、裁判所は、裁判員候補者が辞退事由や不適格事由に該当すると判断したときは、その候補者について不選任の決定をしなければならないことになっています。

次の第三番目に、当事者、検察官、弁護人の方も、一定数の人数を限度として理由を示さない不選任請求をすることができまして、その請求がされた場合は裁判所がこの者については不選任の決定をする、最後にこれで残った候補者の中から裁判所は裁判員を選定すると、こういう段階的な手続が法定されているわけです。
 そういたしますと、裁判員法のこの仕組みというのは、不選任決定を行う前提としての質問手続の段階で、被害者との人間関係、人的な関係の有無やその内容、つまり不適格事由があるかどうかということを判断するために被害者に関する情報を提供するということを前提としている、あるいは予定している仕組みではないかと考えられるところでして、今委員の御指摘のあった、裁判員候補者と被害者との関係についてはまずは調査しないで、つまり不適格事由の有無については判断しないで裁判員の選任手続を終えてしまうといった運用というのは、法の想定するところではやっぱりないんではないかと、そういうふうに考えられるところです。

もっとも、先ほども申し上げたとおりの運用上の様々な工夫によって、できる限り裁判員候補者に被害者の氏名等を伝えないで不適格事由の有無について判断するような工夫をする、あるいはそうすべきであるというのはもとよりそのとおりでして、そういった点、プライバシーの保護の必要性と、しかし一方では不適格事由をきちっと判断をする、しなくちゃいけない、この両方について十分工夫を凝らした運用をすべきであることは言うまでもないところでございます。

○山本香苗君 

いろいろと今御答弁されたんですけど、要するに裁判員候補者に対して被害者の氏名等を全く告知せずに裁判員を選任した後に初めて告知するというのは、法の想定するところではないからということなんですよね。

しかし、そもそも
裁判員候補者に対して被害者特定事項を告知すべき時期に関する明示的な規定はないんですよ。運用で被害者の方々のプライバシーが守れるのであればそういう運用をすべきじゃないかと、法律が想定されていないとしても法律の趣旨には反しないはずだと思うんですが、もう一回答弁お願いします。

○政府参考人(深山卓也君) まさに今御指摘のとおり、被害者の特定事項をいつ開示するかという点について、法律が明文でいつの時期だというふうに規定しているわけではございません

しかし、先ほど述べたような段階的な手続が法定されていて、なぜこういう手続になっているかというと、やはり被害者との関係がある関係者かどうかというようなことというのは不適格事由ですので、不適格事由の有無というのを適切に判断できるように順番を追って手続を法定されているということにかんがみますと、不適格事由についての判断をするに必要な事項を調査しないで、それで選任をしてしまって後から不適格事由があるかどうかを判定するというのは、明文で禁止されているわけではないんではないかと言われればそのとおりなんですけれども、やはり法律が予定しているこの手続の仕組みにややそぐわないものではないかというふうに考えております

○山本香苗君

もう時間が来ましたので、最後に大臣に是非伺っておきたいんです、御答弁をお願いいたしたいんですが、性犯罪はまだまだ世間的に十分理解が進んでいるとは言い難い状況にあります。

司法関係者でさえ理解のある方は少ないというふうにも言われております。守秘義務のない候補者の方が、たった一人でも不用意にインターネットに流したり、だれかにお話ししたり、さらに不特定多数の人がそういうことによって知る可能性というのが出てくるわけです。心と体に大きな傷を負った被害者の方が、この裁判員制度によって更に多大な苦痛を受けるということは絶対にあってはならないことだと思います。

性犯罪被害者の方々は、被害を他人に知られることを恐れて訴えることさえできないというケースもあるわけです。このままだと訴えるハードルというものが高くなってしまって、性犯罪の助長につながるんじゃないかという声もあるわけです。

是非、性犯罪被害者の方々とプライバシーの保護について、
被害者の方々が安心できるような明確な方針というものを、是非この選定手続が始まる前には法務省として示していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(森英介君) 

私も、いろいろな方からいろいろな形で性犯罪の被害者の方の中に大変御懸念を抱かれている方がいらっしゃるということについては聞いております。そのような方々の切実な思いには誠心誠意こたえていかなければならないというふうに思います。


その方法については、今法制部長から様々いろいろと御答弁したことなど考え、またその対処されるわけでございますけれども、いずれにしても、犯罪被害者の方々のプライバシーの保護を適切に図っていくことは裁判員制度の円滑な実施のためにも極めて重要でございますのでこうしたお気持ちにどうやって報いていくかということは真摯に考えてまいりたいというふうに思っております。

○山本香苗君 

是非、その手続が始まる前にそれは出していただけるものと期待してよろしいでしょうか

○国務大臣(森英介君) 

具体的には、今申し上げられることは、先ほど事務方から御答弁したようなことを考えているわけでございますけれども、いずれにしても、
少しでも御懸念を払拭できるような方策を私どもとしても誠心誠意考えてまいりたいということは申し上げておきます。

○山本香苗君 終わります。



山本香苗議員さま、誠にありがとうございました。さすがに元外交官です。次の機会には、もっともっとがんがん追及してください。とても期待しています。

しかし、法務省の面々の返答を読んでため息。突っ込みどころ満載すぎます。
「考えられる」を連発してどうするんでしょうね。全く何も考えていないです。考えてください、きちんと。
だって模擬裁判さえやっていないのですから。だからこういうことになったのでしょう?

何も考えずにスタートしてしまって、どう責任とるんでしょう。裁判員法の想定されていないとか色々言っているけど、要するに、裁判員制度には、絶対に性犯罪は合わないはず。
「見て聞いてわかる裁判」と、現行の法制度のもとで行われてきた被害者のプライバシー保護と精神的重圧を考慮してきた(まだまだ不十分ではあるけれど)性犯罪の裁判とは、全く趣旨が違うのですから。

しかも「裁判員候補者に提供する被害者に関する情報の程度を必要最小限度にしながら、被害者と裁判員候補者との間の関係の有無を判断をする」って、 必要最小限度って、一人でも悪意ある人に情報が出たらどうなるか、全くわかってないように思われるのですが・・・。守秘義務がないんですよ??ネットに出たらどうするのでしょう??法務省は責任とれるのでしょうか??

候補者名簿を検察官が被害者に見せるというのも、山本議員の追及されているように、相手がこっちを知っているということもあるわけですし、名簿の情報だけでは、たとえば家族の知り合い、知り合いの知り合いレベルでは把握できないと思い私も心配しています。
そうした人が出ないように、いくら人数が少なくても、被害者の情報を開示するというのは、おかしいでしょう。私も、守秘義務のある裁判員に選定してから、そうした人を除外した方が良いと思います。

「裁判員候補者に対して被害者特定事項を告知すべき時期に関する明示的な規定はない」と山本議員が述べられていますが、まさにその通りです。
というより、裁判の運営の中でも、現行の法律で性犯罪への対応策として考えられているものについても、裁判員法では、全然言及されていないのです。いかに性犯罪に対して、まともに真剣に考えていなかったかということが表れています。

裁判員制度の趣旨とか手続とかを守るよりも、実際に即した、現行の法律制度とあう運用をしてもらうしかないのですが。「見て聞いてわかる裁判」を重視するあまり、加害者にしか有利に働かない制度になるのは、間違ってると思います。

根本的な解決策は、もう一刻も早く、性犯罪を裁判員制度から対象外にしてもらうしかないのですが、それを今すぐにできないのが何とも悲しく悔しい思いです。それまでの間、いったいどうするんでしょう・・・。

しかし、山本議員の熱意と迫力(を感じました)のおかげで、「その手続が始まる前にそれは出していただけるものと期待してよろしいでしょうか」という質問に対して、
なんとか「少しでも御懸念を払拭できるような方策を私どもとしても誠心誠意考えてまいりたい」という答えを引き出すことができました。山本議員さま、本当にありがとうございました。

衆議院はもう選挙を見越して厳しいのが悲しく悔しい現実ですが、参議院でも、こうして本当に超党派で動いてくださっているのだというのは、とても心強く希望がもてます。

これからどうなるのか。考えると胸が苦しくなります。該当事件の被害者の方のお気持ちはいかばかりでしょうか。
ただでさえ、何もわからない状況に巻き込まれて精神的にもあまりに辛すぎるのです。裁判はとても過酷です。それに加えて裁判員制度でいったいどうなるかわからない、誰も明確な指針を出さない、というのは本当に無責任きわまりないです。

ぜひとも、法務省の方から、きっちりと回答していただきたいと、強く願います。




※ぜひこちらのサイトもご覧ください ⇒ 裁判員制度における性暴力事件を考える 

Appendix

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    性被害にあって十数年たちます。
    刑事裁判経験者です。

    二次被害三次被害等、過酷な経験をし、性被害の後遺症もところどころありますが、それでも、わたしは生きています。今は、生きていてよかったと思います。

    だから、同じ被害にあったあなたたちに伝えたい。
    あなたは何も悪くない。どんな事情があったにしろ、あなたは悪くないのです。どんな特殊性があったにしろ、望みを捨てないでほしいのです。

    悪いのは加害者であり、無理解な社会です。あなたは、何も変わってなどいない。とても素敵なところをいっぱいもっている、素敵な人のままなのだから。


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