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警察も検察も司法も、「正義の味方」じゃないという現状  1

告訴の件

 秋田地検に刑事告訴した際の担当はI検察官だった。事情聴取のたびに同じことを何度も聞かれた。彼がなかなか調書を取ろうともしないのは、被害者がしびれをきらして告訴を取り下げるよう仕向けるためではなかったかと勘繰られても、仕方あるまい。

 あるとき、「KYさん(※引用者注/加害者のことである)に聞いたが何もやっていないと言っている。目撃者もいないし、証拠がないかぎりどうしようもないんだよ」と言われた。

「僕はあんたから金をもらってるわけじゃないし、あんたのためにこの仕事してるわけでもないんだよ」とも言われた。自分の給料がどこから出ているかまさか知らないわけではあるまい。

 検察官や警察官といった人たちが必ずしも正義感に基づいてそのような職種についているのではないことを、私たちはもっと知る必要がある。
 ときには男として、世の男たちの利益を守ることを優先したいときもあるのだろう。


 ほんの出来心だったかもしれない行為で罪に問われ、教授が社会的に抹殺されることになったら気の毒だ。自分だってどこかの女にそういうことを仕掛けるかもしれない。それを大げさに騒がれ刑事告訴までされたらたまったもんじゃない。女の訴えこそが社会の秩序を乱すものである。そんなふうに、彼は考えていたのではないか。

 私の代理人であるF弁護士に、事情聴取の際は被害者の気持ちを思いやり人道的にという趣旨の要請をしてもらえないか、あるいは事情聴取に立ち会ってくれないかと頼んでみたが聞き入れてもらえなかった。この案件に関しては僕だっていまいち気がすすまないんだ。もう勘弁してくれよ・・・彼の態度もまたそんなふうに受け取れて、私は悲しくなった。

 そのような感触は、職場の男性たち、当時支援の立場をとってくれていた男性たちにも共通しているように思えた。
そしてまさにこのような男性たちの主導によって社会が動かされていることに気づき、暗澹とした気分にさせられた。

 結局、嫌疑不十分で不起訴になった。被告側がそれを民事裁判の好材料として使ったのはいうまでもない。


「セクハラ神話はもういらない 秋田セクシュアルハラスメント裁判」 p85-86 原告の手記―秋田の地で春を待って
                                           (※強調は引用者による




性犯罪に遭ったあと ― 被害者をうちのめす悲惨な現状でも書いたが、
秋田事件は、「性被害にあうと被害者はこう行動すべき」という「想像の産物の被害者像」を打ち砕いたという点で、大きな意味を持つ事件だ。

だが、民事裁判だ。刑事裁判ではない。刑事裁判では、旧態依然のまま理不尽さが相変わらずまかり通っている。捜査の過程である警察検察の時点で、はねつけられ、事件として受理さえされないのだから。


民事裁判では、秋田事件を始めとして「想像の産物の被害者像」を打ち砕いた裁判が相次いだ後は、だいぶ意識が変わってきているが、それも裁判官次第で、かつ、原告側、つまり被害者が相当に頑張らないとダメだ。

犯罪行為なのに、どうして刑事裁判ではなく、民事裁判でしか裁かれないのかということを、私たちはもっと真剣に考える必要があるのではないだろうか。

秋田事件では、こうして、強制わいせつ罪としては、事実はあきらかなのに不起訴になり、刑事裁判で争うことはできなかった。そして、民事裁判で一審判決が敗訴した。
その後の控訴審では、東京の三人の女性弁護士による最強の弁護団と、全国からの多くの支援者を得て、「想像の産物の被害者像」を打ち砕くことができ、全面勝訴した。

だが、本来、刑事事件で裁かれるべきなのに、民事事件でしか裁けない現状は、残念ながら今も変わっていない。そして民事事件の場合、原告である被害者側に、想像を絶する負担がのしかかる。書面を100ページも200ページも作らないといけない。被害のことももちろん書かなくてはならない。孤独で、そして、あまりに辛い作業だ。
証人も集めなくてはならない。加害者側は異常としかいいようがない反論に出てくる。名誉毀損として逆告訴したりするのだから。

加害者側の言い分は、刑事も民事も一緒だ。
曰く、
「恋愛関係だった」「合意の上」「相手も喜んでいた」「相手は性的に潔癖でない」「相手から誘ってきた」「被害者はおかしな性格だ」「嘘つきだ」「妄想だ」等々、呆れかえる。
まるで血がつながっているかのように、加害者たちは同じことを主張する。

この本には、検察官の心無い対応が書いてあるが(私も経験したが)、現実に起きているのは、これが特殊だということではないのが、非常に残念だ。あまりに多い。

まず最初の段階で関わる警察も、あまりにひどい。それは身をもって経験した私が重々承知だ。(色々と資料を選んでいる最中なので、また別途述べます)

裁判官も弁護士も、もちろんひどい。


前のエントリで「警察は賢くない」と書いたが、正直に言うと、書くかどうかかなり迷った。現在、警察と関わっている段階の被害者の方、これから相談するかどうか迷っている被害者の方のお気持ちを乱すようなことになるかもしれないと思ったからだ。

それでもあえて書いたのは、何か違和感を感じたり、嫌な思いをしても、自分を責める方向にいってほしくないという思いで書いた。賭けといっていいかもしれない。
お気持ちを乱すようなことをしてしまったら申し訳ないと心から思う。
だけど、現状がこうなのだ。

だから、助けてくれるはずの警察や検察や司法に違和感を持っても、嫌な思いをすることがあっても、これが普通で自分が変なのか、自分だけこういう対応をされるのか、というふうに、どうかご自分を責めないでほしい。
どういう事情であっても、危害を加えた、暴力を加えた、加害者が悪いのであって、被害に遭った方は、何も悪くないのだから。
無理解な警察も検察も司法も、変わらなくてはならないのだし、変わるべきなのだ。


ぜひこちらのサイトもご覧ください。
※参考サイト  
裁判員制度における性暴力事件を考える 
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    あなたは何も悪くない。どんな事情があったにしろ、あなたは悪くないのです。どんな特殊性があったにしろ、望みを捨てないでほしいのです。

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