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防犯を呼びかけるのが警察の仕事なのだろうか

前回に続いて、警察の話。

以前のエントリで、

警察は、「夜道・一人歩き・見知らぬ男」を性犯罪の代表的なものと捉えている、という感じはしていたけれど。
最近教えていただいたお話で、ぎょっとするようなことを聞いて、「感じ」どころではなく、ほとんどその実態しか把握できていないのか、と、暗澹たる気持になった。

と、私は書いていたのだけれど、この“ぎょっとするようなこと”とは、

7/25に福岡県で行われた、“「子ども・女性安全安心ネットワーク(コスモスネットワーク)」発足式 及び女性の安全・安心を考えるシンポジウム”のことなんである。
もうあまりのことに憤慨してうまくまとめられず、書くのにとても時間がかかってしまい、エントリにあげるのが遅くなってしまったのだけれど。

このシンポジウム、福岡ではかなり前から、警察が広報活動を相当がんばっていたらしい。ほとんど警察が主催なんである。で、期待を持っていた人も多いようなのだ。

福岡県庁のホームページを見てみる (県警HPにもあったらしいのだが見つけられなかった、申込案内のフォーマットで申込先は警察になっているので、おそらくほぼ同じものだろう)。       
                                           ※以下、強調は引用者による

性犯罪被害の根絶のために 

福岡県内における刑法犯認知件数は減少傾向にあるものの、性犯罪については、全国的に見て高い水準で推移しています。(平成20年中、強姦については全国ワースト3位、強制わいせつについては全国ワースト7位)
性犯罪は女性の尊厳を大きく脅かすものであり、決して許されるものではありません
加えて、被害に遭われる方の半数が未成年であるという状況を考えますと、性犯罪防止は緊急に取組むべき大変重要な課題です。


ここまで読むと、真剣に取り組む姿勢を感じるのだけれど。問題はこの後だ。

性犯罪防止のためには、警察による犯人検挙は当然ですが女性自身の防犯意識の向上と併せて、地域や社会全体で被害の未然防止に取り組むことが必要かつ不可欠です。


と、ここで、雲行きが怪しくなってくる。

このため、警察、行政、地域や事業者の団体、企業など、官民が協働して女性や子どもに対する性犯罪防止に取組む「子ども・女性安全安心ネットワーク(愛称コスモスネットワーク)」を今年度から発足させ、社会を挙げて性犯罪撲滅を目指すこととしました。 
今回、その活動の第一歩として「女性の安全・安心を考えるシンポジウム」を開催します。


「被害の未然防止」と撲滅って、矛盾してるのでは。「防止」する対象が違うと思うのだけれど。
・・・「防止」することで、撲滅できると思っているのかなあ?と、ここで甚だしく矛盾を感じてしまうのだ。女性に防犯を呼びかけることだけで撲滅できるとでも?
一応「警察による犯人検挙は当然ですが」と書いてあるけど、単なる断り書きで、このシンポジウムは単なる防犯キャンペーンなのだ。
・・・防犯=「地域や社会全体で被害の未然防止」=「社会を挙げて性犯罪撲滅」という認識らしい。

確かに、防犯を意識することで、その人本人は被害に遭う可能性は、減るかもしれない。ただ、残念なことに、どんなに気をつけていてもやっぱり被害に遭うこともあるので万全とは言えないけれど。
気をつけるに越したことはない。私も、防犯自体に反対というわけではない。

ただ、撲滅というと、社会全体から撲滅するということで、それは個人の防犯意識とは残念ながら関係はないと思ってしまうのだ。

仮に。
個人の防犯意識が高まっても、社会全体の犯罪が減るわけではないのが、本当に残念なところ。
どこの国だったか忘れたのだけれど、女性は夜出歩かないようにしたら今度は自宅侵入しての犯罪が増えたという話を聞いたことがある。だから、意味がないのだ。本当に悲しく悔しく残念なことなのだけれど。

例えば「性犯罪をしてはいけません」というごくごく当たり前のことを呼びかけたり、パトロール強化するとか。
そっちの方がよほどいいと思うのだけれど、そういう呼びかけは反発が多いので、おおっぴらにできないのだろうか。
・・・なんだかなあ、と思ってしまうのだ。


参加された方から教えていただいたのだが、このシンポジウムでは、まるで被害者に責任をなすりつけるような二次加害発言が相次いだということで、相当にひどいものだったそうなのだ。

防犯も「夜道・ひとり歩き・見知らぬ男に注意」の一辺倒で、講演に呼んでおいて、小林美佳さんの話は無視したそうだ。
司会も性犯罪被害者を非難するような発言を促したという。・・・もう絶句である。


さすがにたまらなかったのだろう、小林美佳さんは、被害者の方から来たメールのことを話されたそうだ。年に1200件くらい被害に遭われた方からのメールをもらうそうなのだが、
「私のように見知らぬ人からレイプされた件数は、メールを貰った数全体から見ると少ない。半分以上は兄弟、父親、おじいちゃん、親戚、近所のお兄さんからの被害」と。

相談機関でも、顔見知りによる被害の方が圧倒的だという結果がどこでも出ている。相談機関ではなくても、詳しい調査を実施している他国でも同様の結果が出ている。

身近な人からの性犯罪をないものにする警察の傾向を心配されたのだろう、
「8年ほど前、ある田舎の集会に、母親に頼まれて食べ物を差し入れに行った若い女性が、集まっていた7~8人の男性から集団レイプされたのだが、そのことを母親に訴えたら、よくある事だから黙って忘れるようにと言われ、これは性犯罪なのか」
と悩む女性の例を話されたそうなのだが、なんと無視されたそうだ。

警察に届けられるケースは「見知らぬ男からの被害」が殆どのようで、実態を全く把握できてないらしい。(ちなみにこのシンポジウム、ちゃんと女性警察官もいたようなのだ。女性警察官や女性検事の酷さは結構よく聞くが、同じ女性なのに、とより傷が深い)

参加された方の中には、あまりにひどいと感じ抗議された方もいらっしゃるようなのだが、これも途中で司会に発言を遮られ、小林美佳さんに逆にフォローされたそうだ。
小林美佳さんがどういうお気持ちでいらっしゃるのかといたたまれない気持ちでいること、警察や司会のこと、このシンポジウムのひどさに憤慨されていたと聞いた。


話を聞いた私も、強い憤りを感じる。

わざわざ東京から来ていただいたのに、その扱いはいったい何なのだ。失礼にもほどがある。
小林美佳さんに謝ってほしい。

自分たちの都合のいいように主導権を握って、全く人の話を聞かないという体質が本当に大問題だ。
で、マスコミもこういった会場の雰囲気を正しく伝えていないのだ(参加者の声とか)。
実際には相当にひどいものだったらしいのだが(詳しくは全文を読んでください)。

報道から、小林美佳さんの発言に絞って抜粋してみる。

毎日新聞では、

「防犯ブザーを持つことも大切。でも被害に遭った時に話せる人を作っておくこと、どこに頼ればいいのか情報を持つことが武器」と語った。



時事ドットコムでは、

「(わたし自身の)事件は(犯人が逮捕されずに)時効を迎えた。今でも生活はめちゃくちゃなままだ」と時折言葉を詰まらせながら深刻さを訴えた。
 小林さんの著書に対しメールなどで感想や意見を寄せた人のうち、半数を超える約1300人が性犯罪被害者。しかし、事件について警察に届け出たのは、このうちわずか約10人だったという。
 小林さんは「女性に強くなってほしい。信頼できる人をつくって情報を持つことが、自分を守る一番の武器です」と呼び掛けた。



まともなのはこれかな。
西日本新聞では、

講演では、自分が汚いもののように感じ、家族にも打ち明けられなかった苦しい経験を吐露。「だからこそ、信頼できる人がいることは武器になります」と語った。

 また、「防犯、防犯と言われると、身を守れなかった自分が責められているよう」と率直に述べ、会場からも「女性に護身術を求めるより、『性犯罪をするな』という教育を広めるべきだ」との声が上がった




小林美佳さんの意見に私は大賛成だ。小林美佳さんが正しい。

西日本新聞のみで取り上げられた、
会場の声「『性犯罪をするな』という教育を広めるべき」、こちらももちろん大賛成。(当たり前のことをわざわざ言わないといけないのだから、悲しいけれど)


なのに・・・まったくもう、、どうしたものか。

そもそも、見知らぬ人による性犯罪しか念頭においていないのが大問題だよなあ、と思うのだ。
相談機関ではどこでも、顔見知りによる被害の方が圧倒的に多いので、警察の認識が、実状とかけ離れていることに苛立ちを感じる。

なんでそういう認識になるかを考えると、顔見知りによる犯罪を事件として受理しない傾向が根強くあり、それをさらに再生産する仕組みがあって、こういったシンポジウムを行うことでより一層その傾向が強まる。

そして、被害者の落ち度を問う声も再生産される。
防犯を呼びかけたのだから、被害に遭ってもそれは自己責任、とでも言っているように私には聞こえてしまうのだ。
加害行為をする側の責任をきっちり追及していく姿勢を見せてもらわないと、何の根本的な解決にもならない。


小林美佳さんは、遠方からいらしたのに、失望されたことだろう。

小林美佳さんを傷つけたこと、福岡県警のバカっぷりに、怒って心配されている方たちから話を聞きました。
バカな福岡県警のお相手、ほんとうにお疲れ様でした。



8/24追記:同じ内容を別館にもエントリあげましたので、反対ご意見等はそちらにお願いします。
当ブログと友好関係にある方はこちらで結構です。よろしくお願いいたします。
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    二次被害三次被害等、過酷な経験をし、性被害の後遺症もところどころありますが、それでも、わたしは生きています。今は、生きていてよかったと思います。

    だから、同じ被害にあったあなたたちに伝えたい。
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